剥製工房 フィッシュワールド/BEA-9 ③ (ヤマメ)

前回の続き

 

鋭い牙を誇示するように大きく開けたピラニアの口の奥から、

 

「パラパラパラパラ…」と、

 

茶色い粉末に混じって、

 

 

“めちゃくちゃ小さいカブトムシのメス”みたいなやつが

何百匹と出て(落ちて)きたのだ。

 

 

振れば振るほど、無限に、出てくる。。

 

 

おもしろくて仕方がない。

 

 

昔からその手の虫を“気もち悪い”と思うことがなかったぼくは、

虫のみを取り出し、

小さな容器にぎっしりと詰めた。

 

 

そして、その容器を、嬉々として母親に見せにいったのだ。

 

 

数分後、

(母親も虫は好きな方だったが)

「ピラニアの剥製」と

「“めちゃくちゃ小さいカブトムシのメス”みたいなやつが詰まった容器」は、

ごみ袋で何重にも包まれ、

家の外に出されていた。

 

 

 

剥製作りの技法を用いた、

剥製風ルアー(ちゃんと普通のミノーだから、あくまでも“風”なのだ)。

 

 

今でこそ、「剥製ルアー」をうたうブランドはいくつか存在しているが、

魚皮だけではなく、ヒレもそのまま活かしているあたり、

「フィッシュワールド」物が、最も剥製の雰囲気を醸している。

 

 

実は、ここのルアー、匂いが…

そう、、

あの時の「ピラニアの剥製」と同じなのだ。

 

 

甘いような、香ばしいような…。

 

 

ルアー作りの工程で、同じ薬品を使用しているのでは?

(魚の剥製作りの世界では、オーソドックスな薬品なのかも知れない。)

 

 

 

ところで、こちらのモデル、ちゃんと魚皮は張られているようなのだが…

 

本当に「ヤマメの皮」なのだろうか?

 

 

いずれにせよ、アルミ箔が貼られているということは、グアニンは残っていなかったのだろう。

 

 

—匂いの記憶—

 

 

 

釣れ釣れ度■■□□□

ロスト度■■□□□

レア度■■■■□

「ブラジル産『ピラニアの剥製』は、未処理の内臓に、“アマゾンの新種の甲虫”付き」度■■■■□

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