風来堂のプライベートブランド「ワンダラー」。
拙ブログで初めて上げたのが2020年2月のこと。
その後、いくつか、新たに手もとに来たワンダラーのルアーがあるので、記録しておきたい。
小学校高学年のとき、
「音楽会」などというイベントがあった。
学校の体育館ではなく、コンサートホールを貸し切り、
そこに近隣の小学校が集まって、
入れ替わり立ち替わりで合唱と合奏を披露する
という、なかなか力の入ったイベント。
そのため、年度当初から、音楽の授業はほぼ「音楽会」の練習。
(本番が近づくと、音楽の授業ではない時間も練習に当てられた)
そんな練習に先立って行われるのが、合奏のオーディションだ。
大人数の(オーディションのいらない)リコーダーや鍵盤ハーモニカの他に、
ピアノやアコーディオン、けっこうな数の打楽器がある。
リコーダーや鍵盤ハーモニカじゃあ、つまらない。
トライアングルは地味だし、
タンブリンになったとしても、普通に突っ立って叩くことしか許されないだろう…
これもつまらない。
鉄琴や木琴には人気が集中している。
そこでぼくが目をつけたのが、大太鼓とシンバル。
理由は単純で、まず、競争率が低かったこと。
次に、目立つ。
そして、思い切り叩くのが気持ちよさそうだったから。
さて、大太鼓とシンバル、どちらのオーディションに参加するか…
様子をみると、
大太鼓に集まっているのは2〜3人。
しかし、そこには、Yさんがいるではないか。
Yさんは、自身も大太鼓のような見た目をした女の子で、いわゆるリーダー的な「ザ・優等生」。
確か、吹奏楽部にも所属していた。
雰囲気的にも、実力的にも、これはもう端から勝負あったな。。
では、シンバルはどうか。
「サッカーと駄菓子屋以外能がない」ような、あまり賢くない粗野な男子が4〜5人集まっている。
もらった!
シンバルにしよう。
余裕だ。
オーディションは順調に進み、すぐに候補はぼくとSくんに絞られた。
この時点で、級友のほとんどが、そしてぼく自身も、
「どうもおかしいな…」
と、思い始めてはいた。
無難にこなすぼくに対して、Sくんは全っ然ダメなのだ。
それなのに、なぜか、最終候補に残っている。
そうして、、最終オーディション。
決めるのは先生方だ。
ぼくはそつなくこなし、
Sくんは、先生の付きっきりの支援のもとに、なんとか演奏を終えた。
絶対に忘れない。
ぼくが落っこちた、そしてSくんが受かった理由…
それは、“元気”であった。
さすがに、それは、嘘だろう。
Sくんは、どっからどう見ても、元気に叩いてはいなかった。
悲壮感すら漂っていた。
一方、ぼくは、
“ややふざけがち”という悪い癖が出ていたかもしれないが、
それでも、Sくんとは比べものにならないくらい楽しそうに叩いていたはず。
まぁ、
結局、
やる前から結果は決まっていたのだ。
先生方は、Sくんに花を持たせたかったのだ。
なんとなく、その理由も分かる。
高学年ともなれば、そのへんの事情は察しがつくわけで…
その後は特に遺恨を残すこともなく、練習を始めることとなった。
当然、Sくんは練習につぐ練習。
授業中もマンツーマンの指導を受けていたし、
休み時間はもちろんのこと、放課後も遅くまで練習をさせられていた。
その甲斐あって、ぼくらの合奏は本番前にはちゃんとカタチになっていた。
そして、本番当日。
なんとSくんは、
地蔵のように固まったまま…
一度もシンバルを叩くことなく演奏を終えたのである。
そのことについて、ぼくは、何にも気にしていなかった
—よい意味でどうでもよかった—
(級友も同様であったろう)
にもかかわらず、
後日、急遽、授業参観日が設けられ、
再び、体育館で合唱と合奏を披露することになったのだ。
表向きの理由は、
「当日、残念ながらホールに来ることができなかったご家族のため」
であったが、
その裏に、
「Sくんの名誉挽回」と「教師の変なプライド」
があることは、誰の目にも明らかであった。
(そもそも、これは、Sくんの失敗ではない。先生方の失敗である!)
…結果から述べると、
体育館での演奏時にも、
Sくんは地蔵化した。
演奏が終わってすぐ、
(記憶が定かではないけれど)
ぼくは先生に対して、
「Sくんと一緒にシンバルを叩きましょうか? で、もう一度演奏しませんか?」
的なことをアピールしたような気がする。
ひょっとしたら、ぼくじゃなくて、リーダー的存在のYさんが、そんなことを言っていたかもしれない。
とにかく、なんか、そんな動きはあった。
しかし、演奏は、その一度きりで終わった。
それからしばらくの間、
先生がぼくに変に気をつかうようになった。
やけに絡んでくるというか…。
そして、何人かの級友にいたっては、
Sくんではなく、ぼくを慰めてくるようになったのだ。
今思えば、小学生らしい気のつかい方ではある。
でも当時は、とにかく、それが嫌で嫌で…笑
(ぼくは本当に、心から、シンバルに選ばれなかったことを何とも思っていなかったのだ!)
小学生ながら、他人の厚意を無碍にもできず…
しょっぱい思い出である。
こうして、この頃のぼくは、より一層、「学校の先生」という人種を嫌いになるのであった。笑
ということで、
黒も似合う『シンバル』。
ウエイト/23.5g
ボディ長/92mm(金属パーツを除く)
定価/大体5,000円
ワンダラーのリーダー的存在である。
移動距離の少ないターンからロングスライドまで、やや大雑把なロッドワークが◎。
一度フロントペラが回り出しさえすれば、スローなただ巻きでも誘えなくはない。
バランスが悪いし、スタイリッシュでもないけれど、これが最も釣れる…笑
まっ、アクション面だけをとってみると、お世辞にも“優等生”とは言えない。
でもね、ワンダラーのルアーって、
若干の不自由さだったり、
ブランドの背景、物語、だったり、
を味わうルアーなんですよ!
それに、チンガードやネオクラシカルなスタイル、おそらくは“あえて”の雑なテンプレート、に萌える!
今見ても、今だからこそ、めちゃくちゃ格好いいじゃないですか。
ぼくにとって『シンバル』は、“最高のルアー”の一つなんです。
釣れ釣れ度■■□□□
ロスト度■□□□□
レア度■■■■□
「音量的にはスケール換算してもタンブリン」度■■■■■