ムチョウワークス/美麗 ST-85

篠山紀信が亡くなった。

 

 

プロのカメラマンをやっている友人から、以前聞いたことがある。

 

 

「カメラマンは、大体、紀信派とアラーキー派に分かれる」

 

と。

 

 

その友人はアラーキー派なのだが、理由を

 

「圧倒的に格好いいから」

 

と述べていた。

 

 

 

これが今回のルアーの話につながる。

 

 

 

大好きなムチョウワークスから、

 

 

『美麗 ST-85』。

 

 

 

数年前のデビュー以来、“最もリアルなワカサギルアー”と称されてきた。

 

 

「何をもってのリアルか?」によるけれど、

 

このルアーからは芸術性を感じることができない。

 

 

体内が透けて見えるところなんて、アカデミックでもあり、あまりに自然的。

 

 

つまりは、“紛れもなくリアル”なのだ。

 

 

『美麗』を前にすると、全てのルアーが、たとえそれがリアルを謳っていたとしても、衣服を纏っているかのように感じてしまう。

 

 

一方で、アクションは「生」よりも「死」を押し出したもの。

 

 

リアルなだけに、他を寄せつけない硬直感。笑

 

 

死後硬直なのか、もう死ぬからなのか、

 

ピンッてしちゃってる。

 

 

しかし、そこから生まれるアクションは、極めて魅力的。

 

 

水平姿勢を保ちながら、

 

けっこうなスピードではらはらとフォール。

 

 

巻けば、はっきりしたロール。

 

 

ともなって、フラッシング。

 

 

ロッドワークで、すうっとダートさせたり、へろっとバランスを崩させたり。

 

 

中でも、高速度で巻けることと、アクションの“弱さ”、がいい。

 

 

 

ちなみに、芦ノ湖でレイクトローリング風にして使用してみたのだが、、釣れず。

 

 

(まっ、これはルアーが悪いのではなく、ぼくが悪い)

 

 

シャローにバスがいたのでキャスティングで狙うと、しばらく追った後、へろっとした瞬間に喰ってきた。

 

 

で、その後もぽろぽろ釣れる。

 

 

そういうルアーなのだ。

 

 

(スプリットリングが付いているほうは、なぜか釣れない)

 

 

 

さて、購入後しばらくは「なんて精緻なつくりなのだろう」と思っていたのだが、よくよく見ると、いい意味で、かなり適当(=自然)。

 

 

定性的というか、数値とはかけ離れた作風なのだ(ムチョウワークスのルアーからは概ねそのような印象を受ける)。

 

 

だからこそ我々は、『美麗』から最上のリアルを受け取るのである。

 

 

 

ビルダー関真人氏の、半生に基づく、イデオロギーの塊みたいなルアーなので、

 

『美麗』を手に入れても、感覚的に共有できる人は少ないんじゃないかなぁ。

 

 

説明書(『流星』のもね)を読めば分かる。

 

 

論理性はなく、あるのは思想の押しつけ…

 

 

(ぼくは大好きなんですよ!)

 

 

天才ってことでしょう。

 

 

関真人氏は荒木経惟っぽい

 

 

対照的にウッドベイト遠藤龍美氏は篠山紀信っぽい

 

 

と。

 

 

ふと、そう思った

 

…という話。

 

ウエイト/12.0g

ボディ長/約85mm

価格/10,780円

 

 

 

釣れ釣れ度■■■□□

ロスト度■■■□□

レア度■■■■□

「加納典明は卑猥」度■■■□□

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