東京圏でも、在来のタナゴは、いるところにはまだまだいる。
数年前のこと。
その日は、
午前中に霞ヶ浦周辺でオカメタナゴ(タイリクバラタナゴ)を釣り、昼食後、とっておきのポイントに移動する
…そんな予定を立てていた。
オカメタナゴを釣っている時点で、イヤな予感はしていた。
土手の上に軽ワゴンが停まり、運転席の男が、ニヤつきながら、ずうっとこちらの様子を観察していたのだ。
茶褐色の顔面に、ギンギンに見開いた眼が異様に目立つ。
仲間にも情報を流すだろう。
「あぁ…この場所も終わったな…」
そんなことを考えながらも、程なくしてぼくらは満足のいく釣果を得、納竿。
とりあえず、どこかで昼食をとることにした。
片付けを始めるとすぐに、軽ワゴンから小汚い男が降りてきた。
60〜70代と思しきその男は、しかし何かがギンギンにみなぎっている。
いやらしい目つきでニヤつきながら、ぼくらの周りをうろうろし始めた。
同行者は何やら話し掛けられていたが、ぼくは心から不快だったので、避けるようにして車に乗り込んだ。
近くの店で簡単に昼食をすませる。
いよいよ、とっておきのポイントへ移動である。
ところが、駐車場を出てすぐに、後ろをピタッとついてくる車がいることに気づいた。
煽られているのか?
否、間違いない…
先ほど釣り場に現れた軽ワゴンである。
信号待ちの際、ルームミラーで確認すると、
やはりあの男がハンドルを握っていた。
ギンギンの眼で、いやらしくニヤついている。
もごもごしてはっきりとは吐かなかったが、どうやら同行者が「奇跡のポイントがある」的なことを話してしまったらしい。。
どうにかして振り切りたいが、危険な運転はしたくない。
降りて文句を言おうとも思ったが、文句を言ったところで、この男は絶対お構いなしについてくるだろう。
…にしても、
最初の釣り場から後をつけ、昼食中もぼくらを張っていたということか。
(正直、気もちは分からなくもないが)そこまでするか。。
このときぼくは、
驚きや怒り、気もち悪さを通り越し、
切なさにも似た、なんとも言えない感情に押しつぶされそうになっていた。
こちらがやや際どいタイミングで交差点を通過しても、軽ワゴンは平気で信号無視をしてついてくる。
結局、
全然関係のないポイントに一旦入って竿を出し(釣りをしたフリをして)、
さらにその後、車でその周辺をぐるぐるして、
あたかも「この辺りがとっておきのポイントですよ〜」という雰囲気を演出し、
男をまくことに成功した。
しかしこの一件以来、ぼくのタナゴ熱は、かなり冷めてしまった。
タナゴ釣り愛好家には、比較的こういう人が多いんだろうな…
と思ってしまい。
これが今回のルアーの話につながる。
(あんまりつながらないかな…笑)
発売当時このルアーに手を出したのは、ただのミーハーか、初心者だった。
しかし現在では、経験上、釣りが上手い人ほど、
「これは絶対に釣れる」
と言う。
ということで、
ちゃんと評価されるべきケンクラフトから、
真打登場。
『リニージバイブ SP』
そう、タナゴである。
見ためも、泳ぎも、リアルにタナゴを再現
…みたいな謳い文句で、1999年デビュー。
カラー展開は8色だかそれ以上?あって、黒金とギルカラー以外全てタナゴ亜科という徹底ぶり。
実にケンらしい。
まぁ、“アクションがタナゴそのもの”というのは眉唾だが、パフォーマンスは確かに秀逸である。
(個人的には、バスは、そんなにタナゴが好きじゃないように思う)
角の取れた、タイトなぬるぬる系バイブレーション。
テールの素材は、当時ケンがワームなんかにも用いて売り出していた、びよ〜んと伸びて切れない高耐久・高浮力素材「ノベリューム」。
(同じ頃、ダイワは「HM-ZERO」という似たような素材を売り出していた)
このテールが、柔らかすぎず、微かにぴりぴりと震える。
サスペンド精度も高く、極めてナチュラル。
ただし、基本逆立ち姿勢であるため、ロッドアクションを加えると水平方向にくるくると回転してしまい、しばしばフックにラインが絡まる。
もっとも、ジャークしても全然いい動きを見せないので、、「ただ巻き+止めて、見せる」で十分。
※これで定価は2,000円を切っていたんだから…やっぱり上州屋にしかできないよなぁ。
ちなみにこのルアー、SP(サスペンドモデル)じゃなきゃ良さが全然生きませんから、、はい。
釣れ釣れ度■■■□□
ロスト度■■■□□
レア度■■■■□
「列島警察捜査網 THE追跡」度■■□□□