前回、「拾ったルアー」についての記事を書いていて、思い出したことがある。
27〜28年前のこと。
千葉県某所に、
「なんでこんなところで釣れるんだ!?」
という水路があった。
幅1.5m、深さ1.2m(入ったことがあって、足がついた)程度の、
めちゃくちゃ汚い、
水路というより“ドブ川”。
バスのサイズは最大でも30ちょいだったが、
とにかくよく釣れる、
地元のフリークしか知らないようなポイントだった。
そして、当時、このドブ川に、
金網を沈めている人がいたのだ。
少し年上の(中3くらい)、見るからに不良の人で、
沈めた金網にルアーを引っ掛けさせては、
集めていたのである。
この不良のお兄さんは“金網の沈め方が天才的”で、
ただ底まで沈めるのではなく、
その日の水の透明度に合わせて、
釣り人からぎりぎり見えない深さに金網をとどめるのだ。
お兄さんは、日中ずっと、ドブ川に沿ってうろうろ歩いたり、護岸の上に座ってボーッとタバコをふかしたり…
釣りをしているところはおろか、
金網を沈めたり、引き上げたりしているところを誰も見たことがないのである。
(正確には、ぼくにこのポイントを教えてくれた友人ひとりだけが、金網を沈めているところを目撃している。)
だから、
知らない人にとっては、このお兄さんはただの“不良くん”であり、
金網に根こそぎやられてしまうのだった。
好奇心が勝ったぼくらは、見た目も悪けりゃ、やってることも悪いそのお兄さんとコンタクトを取ることに成功した。
近寄ってきたぼくらが子どもだったこともあるのだろう…
威圧感など皆無。
お兄さんは、いつも微笑んでいて、
物腰の柔らかい紳士であった。
まぁ、間違いなく、相当なワルなんだけど。。
それから、お兄さんは、
「今日は、あそことあそこと、あとあの辺りに沈めてあるからー」
と、金網の場所を教えてくれるようになった。
さらには、
ときどき、
ルアーまでくれるようになった。
(水揚げしたルアーかどうかは知らない)
その時もらったルアーの一つに、前期型のボロいダイワ『ハリアー』があったのだ。
(今回のものは後期型)
そうそう、、本当にいいやつ(高価なルアー)は、くれなかったなぁ。笑
1〜2年して、そのドブ川は全く釣れなくなった。
なんらかの理由で、バスが絶滅したのだろう。
間もなくして、ぼくらも、足を運ぶことがなくなった。
釣れ釣れ度■□□□□
ロスト度■■■□□
レア度■■□□□
「カリスマ刺し網漁師」度■■■□□