目が合った者は、亜空間に引きずり込まれてしまう。

プラ製のカップだって、どう見たって、ルアーをまともに動かしてはくれなそうだ。
輪をかけて、サイズにしてはやけにずっしりとした重量感。
アザラシ風クリーチャーは、怪しい雰囲気を地上に色濃く残したままテイクオフ。
(コンパクトにまとめられたフォルムの恩恵か)高速度で飛翔し、そのままズボッとポイントに突き刺さる。

もっとも、当時のケン(上州屋)ユーザーはもれなく初心者であったから、
なんの違和感もなく、
この化け物を
「アザラシちゃん」
「かわいい」
などと言って、
愛でていたのだろう。

ケンクラフト『ジルバップ』
着水後は、頭部をほぼ水面下に置いた前傾姿勢で浮遊。
ある程度経験のあるアングラーであれば、特に考えることもなく、その状態からヘッドアップさせてばーっと巻いてくるだろう。
(間もなくして、「もう一生投げなくていい」という解は出るのだが)
しかし、当時のケン(上州屋)ユーザーはもれなく初心者である。
ただゆっくり巻くのが関の山—
恐怖の幕開けである。

リーリングと同時に、カップの“背”に水を受けたアザラシ風クリーチャーは、ぶりぶりと急潜航。
下手なクランクよりずっと釣れそう…
おっと、感心している場合ではない。
その姿は、
バスに喰われるどころか、
海獣よろしく、
自ら小魚でもかっ喰らいに行っているよう。
おっかない…
とはいえ、当時のケン(上州屋)ユーザーはもれなく初心者であったので、
『ジルバップ』を
“普通のルアー”
“普通のクランクベイト(!)”
と、認識していた可能性が高い。
ノイジー型クランクベイト…か…
気もちわるい…

ウエイト/9.0g
ボディ長/約56mm
価格/1,500円
発売年/1998年
当時は実勢価格で1,000円しなかったと思う。
現在の取引価格も似たようなものだろう。

あっ、先に書いたとおり、ちゃんと、ノイジーとしても使えますからね。
使えないけど。
釣れ釣れ度■□□□□
ロスト度■■□□□
レア度■■■□□
「上州の珍獣」度■■■■□
