COTTON CORDELL/BIG-O ②

まだぼくがブラックバスに出会う前の話。

 

 

父親と、とある釣り堀で金魚を狙っていた。

 

 

しかし釣れない。

 

 

けっこうな混み具合なのに誰一人として釣れない。

 

 

そんな中ついに魚信が。

 

 

格闘すること2秒。

 

 

釣れたのは「ヌマチチブ」であった。

 

 

それでも、当時のぼくにとっては、「ヌマチチブ」はサイズ以上の大物であり、それはそれは嬉しかった。

 

 

ぼくは「ヌマチチブ」を大層大事に扱って、バケツに入れた。

 

 

その日は本当に釣れない日であったようで、周囲の大人たちは、早々に道具を片付け、釣り座を発った。

 

 

ここで事件が起こる。

 

 

大人たちは帰り際にぼくのバケツをのぞき込むと(ここまでは釣り人の性である)、次々に、

「これはザコだ」

「アハハハッ(笑)」

「これはいちばん釣っちゃダメなやつだ」

などと口にしたのである。

 

 

このときのぼくは、

なんだか、悔しいやら、恥ずかしいやらで、

多分、ヘラヘラしていたことだろう。

 

 

 

 

今ぼくの周りにも、

マグロ信奉者やアマダイスト、

ヤマメ崇拝者にタナゴヲタ、

バス釣り愛好家、片やバス釣りを馬鹿にする者やバスを目の敵にする者、

などいろいろなタイプの釣り人がいる。

 

 

そして彼らは、大概、程度の差こそあれ“どうしようもない人間”であり、殊釣りにおいては排他的思考の持ち主なのだ。

 

 

誤解のないようここに強調するが、趣味なので、それはそれでいい。

 

 

しかし、幼い頃に上記の体験をしたぼくは、あえて、堅固でありながらも低い垣根を築くよう心掛けている。

 

 

どんな釣りも、どんな魚も、好きだ。

 

 

少なくとも、「ヌマチチブ」を釣る少年のことを笑ったりはしない。

 

 

…「ヌマチチブ」にそっくりなナチュラルプリントのルアーを眺めながら、そんなことを思う。

 

 

 

1980年代中頃のコットンコーデル『ビッグO』。

 

ウエイト/8.3g(実測値)

 

 

C77かな。

 

これも、アムコ「173-U」の中のルアー。

 

 

 

まぁ、ぼくも、“どうしようもない人間”の一人である。

 

 

 

釣れ釣れ度■■□□□

ロスト度■■□□□

レア度■■■■■

「天は魚の上に魚を造らず魚の下に魚を造らず」度■■■■■

*