HEDDON/SUPER SONIC

前に上げたスミス「ミスティー」と、

今回のヘドン『スーパーソニック』には、

ちょっと嫌な思い出がある。笑

 

 

 

小学生のとき、関東のとあるメジャーフィールドで、父とよくボート釣りをしていた。

 

 

そこで投げていたのが「ミスティー(F)」で、

藻面を巻いてくるだけで、

何本ものバスを手にすることができたのだ。

 

 

その日も、

父の言う通り、藻面を「ふらふら〜」「パタパタ〜」と動かすだけで、

バスが湧いて出てきた。

 

(父は、元来バス釣りをしないのだが、原体験が豊かなためか、いつも的確にパターンをつかむのだ。)

 

 

すると、、

はじめは遠くの方にいた一艘のボートが、だんだんと近寄ってくる。

 

 

まっ、よくあること。

 

バサーは集まる習性があるのだ。

 

別に気にしないで釣りを続けていた。

 

 

しかし、

休憩しようと桟橋にボートを着けたとき、

先ほどのボートの主(テンガロンハットにアウトドアスタイルでキメた小太りのおじさん)が、

ニヤニヤしながら近づいてくるではないか。

 

 

そして、

横柄な態度で

「エサで釣ってるんじゃないの?」

と、いきなり話しかけてきたのだ。

 

 

確かに、「ミスティ」をスローにフワフワさせていただけ。。

 

ぐりぐり巻くこともないので、ライブベイトを泳がせているように見えなくもない。

 

否、たとえエサで釣っていたとしても、全く問題はないだろう。

 

 

テンガロンハットは、

おそらく、

ただ、ぼくらが使っていたルアーを知りたかっただけ。

 

 

こちらのボートを舐めるような視線でのぞき込んでくる。。

 

 

…素直に尋ねてくれればいいのに。

 

 

そこで父が努めて感じよく、

「バイブレーションプラグを投げているんですよ」

と応えると、

テンガロンハットは、

無言で

踵を返して行ってしまった。

 

10.0g ノンラトル

 

 

まっ、世の中にそんな人はいくらでもいる。

 

 

案の定、

休憩から戻ると、

ぼくらが釣っていたポイントにテンガロンハットが浮かんでいた。笑

 

 

そして、バイブレーションプラグと思しきルアーをガンガンキャストしては巻き倒している。

 

 

しかし速い。

 

高速リトリーブだ。

 

明らかに、バスのスピードと合っていない。

 

(あれじゃあ、釣れないだろう…)

 

 

 

ぼくらは、その後も釣りを楽しみ、少し早めに切り上げることにした。

 

 

ところが、

桟橋で片付けをしていると、また、あのテンガロンハットが絡んできたのである。

 

 

どうやら、本当に、1匹も、釣れなかったようなのだ。

 

(当たり前だ)

 

 

その上、こちらが嘘をついたと思っているらしい。

 

 

しかたがないので、

少し残念だったけれど

「ミスティ」を教えてあげた。

 

10.0g カラカララトル よく釣れる偽物

 

 

これで終われば、ただの笑い話。

 

 

「ミスティ」を目にしたテンガロンハットは、

あろうことか、

ぼくら親子を小バカにし、

開口一番

「何それ?」

「バイブレーションっていうのはコレのこと!」

と言って、

鼻息荒く、『スーパーソニック』を呈してきたのだ。

 

 

テンガロンハットの「やれやれ…」という表情からは、

“あなた方はバスフィッシング初心者なのですね”

“私はバスフィッシングについて何でも知ってますよ”

という心の声が見てとれる。

 

 

挙げ句の果てに、父に、『スーパーソニック』の使い方や、このフィールドのポイントについて、レクチャーを始めたのだ。。

 

 

じゃあ、バス釣れよ…⤵︎

 

 

このとき、子どもだったぼくは、

(バス釣りをする人っていうのは、みんなこんな感じなのかな…)

と思い、

なんだか哀しくなった。

 

 

同時に、“大人な対応”をする父に、尊敬の念を抱いた。笑

 

 

2週間後、

“物は試し”と、

親戚のおじさんにもらった『スーパーソニック』(ひとつは偽物…)を持って、再び同フィールドを訪れた。

 

 

テンガロンハットはいるだろうか。

 

 

一種異様なアウトドアスタイルでキメているので、どこにいてもすぐに見つけられるはずだ。

 

 

絶対、「ミスティ」を投げていることだろう。笑

 

 

しかし、残念ながら、テンガロンハットが現れることはなかった。

 

 

 

さて、この日投げた『スーパーソニック』。

 

決して、高速で巻かないと使えないようなルアーではない。

 

巻きスピードはゆっくりでも大丈夫だった。

 

でも、さすがに、「ミスティ(F)」のようにフワフワさせることはできない。

 

トラディショナルなバイブレーションプラグであり(←考えてみれば当たり前なのだが…)、

「ガーッ」と巻くことで本来のよさを発揮できるような印象を受けた。

 

ちなみに、バスからの反応は得られなかった。

 

 

 

あれから30年の時が過ぎた。

 

今では、テンガロンハットのことが少しだけ理解できる。

 

 

バイブレーションプラグ、否、バスルアー=『スーパーソニック』

という時代が確かにあったのだ。

(ぼくは生まれていない)

 

 

問題の高速リトリーブについては…

それこそが、正統派。

『スーパーソニック』の使い方・釣り方だったのである。

 

 

ルアーに対する思い(思い込み)は人それぞれ。

 

フィッシングスタイルも人それぞれ。

 

それでいい。

 

 

最後に。

 

これまでに釣り場で出会ったバサーは、ほとんどが、(「どっからどう見ても暴走族の人」であっても)紳士的な人物であったことを付け加えておく。

 

 

 

釣れ釣れ度■■□□□

ロスト度■■■■□

レア度■■■□□

「ハリウッドザコシショウ?」度■■□□□

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