WENGER/Camper Ⅰ〈TARAS BOULBA〉

学生の頃、

 

「タラスブルバ」や「スノーピーク」は、

 

ダサさの象徴であった。

 

 

タラスブルバのウェアは高額であった一方、身につけているのは、清潔感のない御仁ばかり。

 

 

街の釣具屋が扱っていて、店内のどこかに、埃をかぶった売れ残り商品が必ずあった。

 

 

スノーピークは、竿受けやラインカッターなど、釣り用品を精力的にリリースしていた。

 

 

どれも機能的で、売れてはいた。

 

 

ぼくも、学生ながら、「銀閣」(!)を愛用していた。

 

 

ただ、シニア層のみをターゲットにしていたようで、びっくりするくらい垢抜けない商品ばかりであった。

 

 

その後、どちらのブランドも、

 

世間から忘れ去られたかな?

 

と思っていたところに、

 

キャンプ・アウトドアブーム。

 

 

今や都心のセレクトショップに並ぶ。

 

 

スノーピークは、

 

キャンパーのステイタスになっているし、

 

銀閣(GINKAKU)シリーズもグローブライドが引き継ぎ、ますます健在だ。

 

 

おもしろい。

 

 

 

 

ウェンガー“THE GENUINE SWISS ARMY KNIFE”から、

 

 

『キャンパー Ⅰ』。

 

 

いわゆる十徳ナイフ(マルチツールって言うのかな?)。

 

 

1990年代前半〜中頃に販売されていたタラスブルバとのダブルネームという珍品。

 

 

(別にこれが欲しかったわけではなく、これしか選択肢がなかったので、これを買った)

 

当時の価格で、おそらく、5,700円。

 

 

十徳ナイフを持っていると、

 

“こだわりが強い人”だったり、

 

“アブナイ人”だったり、

 

“ただのフリーク”だったりに見られそうで嫌なのだが…

 

他人に見せるものでもないし、

 

結局、あると、めちゃくちゃ便利

 

 

もっとも、コルク抜きや缶切り、キリ、はまず使わないし、ピンセットなんて挟む力ゼロ。

 

 

でも、ナイフはロープやツタを切るのに便利だし、ドライバーも言わずもがな。

 

 

十徳ナイフがあれば、遭難しかけても、冗談抜きで、なんとかなるだろう。

 

 

そして、釣り人的には、“ハサミが付いている”というのが高ポイント。

 

 

十徳ナイフには、意外と、ハサミが付いていないのだ。

 

 

 

 

さて、この個体、、

 

昔、釣り場で落としたとき、

 

ソフトな人糞(ぼくのではない)の中に埋まる

 

という大事故に見舞われたことがある。

 

釣り場には人糞が多いので、物を落としたら、まず人糞の上だと思っていい。

 

 

意を決して拾い上げ、

 

(自分の手も大事故である)

 

そのまま川の水で洗い、

 

ティッシュでぐるぐる巻きにしてからワームのパケに入れ、

 

厳重に包んで持ち帰った。

 

 

しばらくは、いくら洗っても、隙間の奥の奥に糞のようなものが残っていたのだが、、

 

時が経てば気にならなくなるものである。

 

それにしても、極めて人糞(ソフトタイプ)に弱い構造である。ウェンガーは、設計段階で、人糞の上に落とすことを想定してはいなかったのだろうか。否、人糞でなくとも、けっこう砂を噛んでジャリジャリになる。

 

 

ちなみに、爪楊枝も付いていたのだが、失くしてしまった。

 

 

気にならないとはいえ、さすがに爪楊枝は使いたくないので、別にいい。

 

 

 

—ぼくの釣りには欠かせない十徳ナイフのお話。

 

残念ながらウェンガーは、2005年、ライバルのビクトリノックスに吸収され、消滅している。

 

 

最後に。

 

 

現在、日本国内に正規輸入され、ちゃんとした店で販売されている十徳ナイフは、ほぼ銃刀法の対象外と思って間違いないだろう。

 

 

銃刀法では、刃渡り6cm(折りたたみ式ナイフについては刃渡り8cm)を超える刃物を正当な理由なく携帯することを禁じている。

 

 

また、刃渡りが6cm以下であっても、状況によっては、軽犯罪法違反になる可能性がある。

 

 

とにもかくにも、釣りやキャンプなど、アウトドア活動にのみ携帯すること。

 

 

地方の人がよくやっているけれど、車のキーなんかと一緒に腰からぶら下げるなど、以ての外である。

 

 

 

釣れ釣れ度ー

ロスト度ー

レア度■■■■■

「職質されたときの言い訳ベスト3『やめてよ!痛い痛い!』『ちょっと分からないっす。友だちのだと思います』『さっき拾った』」度□□□□□

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