10年近く前、研修で、サバイバル体験をしたことがある。
遊びではなく、まじめなほうの。
広大な林地を有する某社会教育施設(屋外)に集められ、持ち物は小刀のみ。
そうして、1週間程度を過ごすのだ。
一応、“講師”とかいう胡散臭いおじいさんが一人うろうろしていて、
「この草は食べられる」
など、都度声をかけてくれるのだが、、
このおじいさん、やたらと小刀の持ち方にうるさいのである。
(“刃物”なので分からなくもないが…)普通に怒鳴ってくるのだ。
小学校の頃から小刀でルアーを削っていたぼくにとっては、煩わしいことこの上ない。
もちろん自己流ではあるが、大した怪我をしたこともないし、、当然、ほとんどの場合、きちんと持っている。
たまたま見かけたときにイレギュラーな持ち方をしていたからって、本気で怒らないでほしい。
なにより面倒くさい。
(というか、そのときのぼくの持ち方も正しいはずだ)
片や、すぐそばで、突然やる気を出し上半身裸になる中年男性に対しては、
「いいよぉ〜!気合入ってるね〜!」
などと、満足そうに笑いながら、声を張り上げている。
どちらかというと、女性もいる中で突然服を脱ぎ出す中年男性を注意してほしいものである。
そんなこんなで、
小刀の持ち方を言われたとおりにしなかったものだから、
(それ以外でも全く相手にしなかったことが一番の原因だろう)
ぼくは講師のジジイ おじいさん に完全に目をつけられてしまう。
サバイバル体験中、ずっと、なにかと因縁をつけられ、
危うく、“研修の修了を認めてもらえない”という事態に陥るところであった。
(ちなみに、研修の最終日、最後の座学で、講師のおじいさんを賛美するレポートを書かなければならないのだ)
さて、名匠は、どんなふうに小刀を持ち、また操るのだろう。
「何本削っても、削りかすの数や形は全く同じにならなければならない」
神の手をもつ西根博司氏による、最高峰のハンドメイドルアー。
『チナイ 90』
ボディラインからリアルさを追求したドリームラッシュにあって、かなりユニークな存在。
(無論、それでも、つくりは精緻の極みだ)
世に出た数はわずか150本という。
『Rod and Reel 特別編集 実績バスルアーOVER1000』(小林孝延,2001,地球丸)にも掲載されているのだが、、
その紹介文は、
“〜入手困難になってしまい残念。持っている人には、ガンガン使ってほしいものだ(深)”
と締め括られている。
(深)…何様だ…
誰だか知らないが、大きなお世話である。笑
使おうが使うまいが、こっちの勝手だろう。
言われるがままにガンガン使って、ぼくは今、すごく後悔している。
ちなみに、アクションは、「ボーン、ボーン…」といった感じ。
よく釣れる。
現在の相場で数万円。
釣れ釣れ度■■■□□
ロスト度■□□□□
レア度■■■■■
「サバイバル体験中は一流ホテルに宿泊」度■■■■■