Sea Ling co./Gal Line(モデル名不明)

以下、長文ですが大して中身はありません。

ただの思い出話です(笑)。

お暇な方のみお読みください。

 

 

 

マイナー界の重鎮、“シーリングカンパニー/ガルラインシリーズ”。

 

 

このメーカーのルアーは、見る者全てに“メリケンサック”を思い起こさせるらしい。

 

 

 

しかし、これを手に入れた当時の純真無垢なぼくは、“メリケンサック”など知る由もなく、

 

〈フロントアイが、かわいいお花(アネモネ)みたい〉

 

…その程度の印象だった。

 

 

 

その後、「どうやら世の中には“メリケンサック”という恐ろしいものがあるらしい」ということは分かったのだが、初めて実物を目にしたのは中学生のときだった。

 

 

 

 

いつものように、千葉県某所にバス釣りに出かけたときのこと。

 

 

角を曲がると、その20〜30m先に、どこからどう見ても“不良”の人がいた。

 

 

ひと目で歳がそれほど変わらないことは分かったのだが、紫かなんかの柄物のシャツに、腿のあたりがふっくらとして足首がキュッとしまったパンツスタイル。

ヘアスタイルも「矢印」みたいだ。

 

 

その不良の人も、すぐにこちらの存在に気づいたようだった。

 

 

さらに、近づいて分かったことがある。

 

不良の人は、何やら「ガツガツ」と、傍にある電柱を殴っていたのだ。

 

 

そのとき、不良の人が手にしていたのが、“メリケンサック”だったのだ。

 

 

ちらっとぼくの方に目をやっては、「ガツガツ」と電柱を殴り、またちらりとぼくのことを見る。

 

 

 

幼い頃、

「千葉方面」と「川崎」では“絡まれる”

と思っていたので、用心もしていたし、心づもりもしていた。

 

 

 

そこでぼくがとった行動は、全く動じることなく、何も気づかない様子で、通り過ぎるというものだった。

 

 

何か言ってきたら、走って逃げればいい。

 

 

もちろん内心は、(いきなり殴られたら嫌だなぁ)と、びくびくしながら。

 

 

 

そうこうしているうちに、ふたりの距離は徐々に縮まり(その間、もちろん不良の人は、電柱を殴り続けている)、今まさに通り過ぎようとしたそのとき、

 

 

「あの…」

 

と、不良の人が声を発したのだ。

 

 

そうっとした声で。

 

 

しかもその声は少し震えていたように思う。

 

 

 

てっきり、「おいっ!」とか「てめぇ〜」とかって言って絡んでくると思っていたので、

 

肩透かしを食らったというか、少なからず驚いたぼくは、

思わず立ち止まり、

怪訝な顔で振り返りながら、

「えっ?」と声に出してしまった。

 

 

すると不良の人はボソボソと何か言っている。

 

 

声が小さくて聞き取れない。

 

 

逃げるのも忘れ、そのままぼくが突っ立っていると、

 

どうやら、「金を持っているか」というようなことを、ものすごく小さな声で尋ねてきているようだった。

 

 

 

本当に電車賃くらいしか持っていなかったし、「持ってない」とぼくが答えようとすると、それより先に不良の人は、

 

 

「そうか」

「いいや(行けよ)」

 

 

みたいなことを、ほとんど聞き取れない小さな声で言い、再び電柱を殴り始めたのだった。

 

 

ぼくは思った。

 

「さすが千葉」だと。

 

 

 

そして、この人は、

 

「不良ビギナー」なんだと。

 

 

 

 

ところが、話はこれで終わらない。

 

 

およそ一か月後。

 

 

友人と再びその釣り場へ向かうと、以前と同じ場所に、同じようにして、やっぱりいたのだ。

 

 

 

不良の人が。

 

 

 

手にメリケンサックをはめて。

 

 

 

そこでぼくは、小さく、「よっ」と手を挙げてみた。

 

 

すると不良の人も、「おぉっ!」と手を挙げ返し、挨拶してくれた。

 

 

 

覚えていてくれたのだ。

 

 

一か月前より、ずいぶんと明るく元気がいい。

 

不良するに慣れてきたのだろう。

 

 

 

そうしてぼくらは、互いの武器(メリケンサックとバスロッド)を交換し、

ほんのわずかな時間ではあったが、それぞれの武器のよさ特性について語り合ったのだった。

 

 

 

このときに、その不良の人は“バス釣りがそうとう好きだ”ということも判明した(だからぼくのことを覚えていたらしい)。

 

 

 

釣果はどうってことなかったが、とても清々しい気もちで帰路についたことを今でもはっきりと覚えている。

 

 

(カツアゲは絶対にいけないけれど)いい思い出だ。

 

 

〈終わり〉

 

 

 

それにしても、、、ラインの出る角度を変えるため、独自の形状の“環”まで開発するなんて…。

 

「オリムピック」の委託先は、もともと金属加工に強い会社だったのかもしれない。

 

(つまり、オリムの委託先が出したオリジナルルアーなのだ。)

 

 

しかし、この位置にキュッと3つの穴をくっ付けたもんだから、効果はあまり実感できない。

 

だいたい、こういう意匠のルアーって、それぞれ少し離れた位置からラインが出るようにアイを付けない?

 

“ガルライン”の他のモデルだったら、泳ぎが大きく変わるのかなぁ。

 

 

 

そして、「お花(アネモネ)アイ」も魅力的ではあるのだけれど、何と言ってもカラー(展開)に味がある。

 

ぼくは最初、アイの形状には全く気づかず、このプリントボディしか目に入らなかったくらいだ。

 

 

他のカラー・柄もチープ感満載なんだけれど、プリントも実に安っぽくていい(それに、どこかで見たことある柄だ)。

 

 

そして!

 

どのカラー・モデルも、塗り(プリント)、造り、が“こなれている”というか、意外と丁寧で、凝っていたりする。

 

その当時の「オリムピック」オリジナルのルアーよりも、しっかりしているような気さえする。

 

 

どうやら“シーリングカンパニー”、「職人気質」であることは間違いなさそうだ。

 

 

さて、その不良の人。

 

その後、難読漢字が刺繍されたユニフォーム姿で、週末の夜にカスタムしたバイクにまたがり、仲間と超法規的なツーリングを楽しむ集団の中心人物として活躍。

 

 

もちろんバス釣りは続け、

 

何年かの後、霞ヶ浦を中心にバス釣りばっかりしている人たちの団体の一員として、名前をちらほらと見かけるようにまでなったとさ。

 

 

 

釣れ釣れ度■■□□□

ロスト度■■□□□

レア度■■■□□

「我留羅陰、夜露死苦!」度■□□□□

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