その昔、印旛沼、中央排水路で出会った男がいた。
その男は、佇まいが実にスマートだった。
そして、いつも何かに苛立っている。
人懐っこく、一見、穏やかそうではあるのだが、どこか影のある、そんな“ミュージシャン”だった。
間もなくして音信不通になったのだけれど、バス釣りは本当に上手かった。
とにかく、「釣る」。
利根川水系でも、富士五湖でもよく釣るし、何より釣れるポイント・エリアをよく知っていた。
“ディープX100”の思い出は、その男とともに、常陸利根川にある。
「潮来つり具センター」そばのテトラ帯で、その男が投げていた。
しかも、そのとき、男が使っていたロッドが“SHIMANO Speed Master FIGHTIN’ROD”。
トリガーからテーパー掛かってる、フォアグリップがなくてブランクタッチの、めちゃくちゃ格好いいアレ。
そんなタックルで、立て続けに何本もバスを釣り上げていった。
その場所が釣れることにも、そのルアーが釣れることにも、男が手にするタックルにも、ぼくは衝撃をうけた。
軽いめまいを覚えたほどだ。
かくいう私も“ディープX”は「200」より「100」派。
アクションも「100」の方がクセがない。
それに「200」は、顔が、コンゴウインコだとか、カメっぽい。
「100」の方が、そのスタイルも相まって、ずっとハンサムだ。
彼とまた一緒に釣りに行きたい。
そのときは、“SHIMANO Speed Master FIGHTIN’ROD”に“ディープX100”というタックルで。
釣れ釣れ度■■■□□
ロスト度■■■□□
レア度■■□□□
「その男は、ロッドもファイティングなら、普段から“ファイター”だった」度■■■□□