▶︎序章〜Type1
タナゴ・小物釣りも大好きです。
竿は、「愛竿」と呼べる和竿がある。
それについては、またいつか。
今回は“えさ箱”の話。
えさ箱って、プラスチックだといいのがない。
プラだと渓流釣り用のものが主体(そもそも、渓流釣りにも使いたくないような、そんなのしかない…)。
だから、新聞紙のままの赤虫のほうが、まだスタイリッシュでいい。
しかし、新聞紙が風であおられ、釣りを始めたばかりなのに赤虫が全て水の中へ…なんてことがある。
ところが、“ちゃんとした(?)えさ箱”って、すご〜く高い。
竹を切っただけにしか見えないものが、2〜3万円とかする。
さらに上を見ればきりがない。
もう少し安くて、小さくて、品のいいものもあるけれど、これも、5千円〜2万円くらい。
しかも、造りが悪い。
こういう、“伝統工芸品”みたいな世界って、ぼくはよく知らない。
知らないのだけれど、なぜかえさ箱に限っては、値段の割にどう見ても造りが雑。
物色しているうちに、なんかイライラしてきて(笑)、「自分で、自分の使いたいようなものを、作ろう」と思ったしだいなんです。
見よう見まねで。
そうして、完成させたのがこちら。
Type1
黒/幅93mm
「オーソドックスなものをひとつは持っていないと」ってことで。
最初に完成したこれは、赤虫を入れて、実際に何度か使用していた。
そんなある日、いつもの水路で釣りをしていると、どう見ても“総会屋”の人がこちらに近寄ってくる。
そういえば近くに、ぞろ目ナンバーの黒い高級セダンが止まっていた…。
ずいぶん前、ボートを所有していたとき、琵琶湖で、知らずに着けた桟橋がたまたま他所様のものだったことがある。
そこで、“ザ・闇の勢力”みたいな人に、「事務所がどうのこうの」と、しこたま怒られた経験のあるぼくは、
「あぁ…ヤバい…(泣)」と…。
しかし、今回ばかりは思いあたる節がない。
するとその総会屋風の人、
「兄ちゃん、いいもん使ってるな!」
と。
てっきり“竿”のことだと思っていると、“えさ箱”もすごく褒めてくれた。
「おれにも作ってくれよ!」
と(笑)。
それは丁重に御断りしましたが、嬉しかったなぁ。
初めて作ったものだったし。
大人になってからは、じっくりと取り組んだ何かを褒めてもらえることなんて無かったから、ものすごく嬉しかった!
釣り人は皆いい人だ。
《続く》
釣れ釣れ度ー
ロスト度ー
レア度■■■■■
「さぞかし名のある親分に違いない」度■■■■□