「リアル?ファンシー?いいえ、アートです」DAIWA/DROWN DRAGONFLY

トンボが好きなので、トンボ色やトンボ型のルアーを見つけるとついつい購入してしまう。

 

 

トンボ色は大丈夫。

 

 

どんなルアーにも、トンボ色を施したり、リアルなトンボプリントをのせたりすることはできるのだから。

 

 

要は、形も機能も至って普通のルアーなわけで…

 

(どうしてもトップウォータープラグばかりになっちゃうけどね)

 

釣れ具合も普通。

 

 

アベンタクローラー・バゼル」然り。

 

 

(ちなみにぼくは、以前から、ミノーやスティックベイト、ストレートワーム、へのリアルトンボプリントを提唱している。どこかやってくれませんかね?)

 

 

問題は、トンボ“型”。

 

 

特徴や生態を追究し、

 

再現しようとしたところで、

 

なかなか厳しいのではないだろうか。

 

 

トンボはルアー向きの昆虫ではない

 

 

まず、不味そう。笑

 

 

フォルム的な問題もある。

 

 

キワモノ扱いされるのが落ちだ。

 

 

そして、虫系ルアーのネタ元となっている他の昆虫よりも落水するイメージがないこと。

 

 

落水したとしても、アクションを生み出すメカニズム、ファクター、が複雑。

 

 

ゆえに、「ホバールアー」のような非常に前衛的な作品となることが約束されているのである。

 

 

しかしながら、

 

落水時のトンボが発する水紋は最上級にアトラクティブ

 

であることも、また事実。

 

 

ぴとーっとなった翅が、

 

胸部の浮力の大きさと基部に結びつく筋肉の震えによって、

 

力強くも繊細な水紋を生み出す。

 

 

(そういう点では、リバー2シーの「ドラゴンフライ ポップ 70」はいい線いってるよなぁ。まっ、ただのノイジーではあるんだけど…)

 

 

事実、トンボは生エサとして非常に優れているのだ。

 

(沈めてもよく釣れる!)

 

 

反面、トンボパターンの必要性には誰もが首を傾げるところ。

 

 

イコール“凡庸な”虫パターンと捉えることができるだろうし、

 

よしんばトンボの落水アクションを演出したいのであれば、(それを忠実に再現することは極めて難しいのだけれど)ワームで事足りる。

 

 

高浮力のストレートワームに翅を模したフェザーでも刺して浮かべておけば、、

 

完璧だ。

 

 

そんなわけで、トンボを模した—いわゆるトンボ型の—ルアーは少ない。

 

 

一方、冒頭に述べた「トンボ色」については、昨今、ジワっている。

 

 

世の中に、“昆虫”トンボ好きは意外なほど多い。

 

 

業界はそこに目をつけたのだろう。

 

 

ジワジワと、しかし確実に、トンボ色を施したプラグを見かけるようになってきた。

 

 

そうなると、決まって、後出しジャンケン的に首を突っ込んでくるメーカーがある。

 

 

ダイワだ。

 

 

基本ダイワは、やや遅れてパクる 流行りに乗る。

 

 

やるだろうな…と思っていたら、

 

やっぱりやってきた。

 

 

もっとも、コアな“昆虫”トンボ好き(兼バス釣り愛好家)にとっては、

 

トンボ色ではなくてトンボ

 

であることが極めて重要。

 

 

ただのトンボ色に飛びつくのはミーハーだ。

 

 

昆虫ファン失格の烙印を押されかねない。

 

(ぼくは飛びつきますけどね…はい)

 

 

しかし、この点についても、ダイワは上手くフィットした。

 

 

ダイワルアーの真骨頂は、「リブンシケーダ」、近年では“トップアーティスト”シリーズにあるのだから。

 

 

『ドラウンドラゴンフライ』

 

 

安直に翅に似た何かを奢ってしまいそうなところだが、(多分)落水時のぴとーっと感を演出するために、中空ラバーを採用。

 

 

正直、これには驚嘆させられた。

 

 

細長いボディにこのラバーじゃ、見ためはもう、ほぼ落水トンボ。

 

ラバー単体でも魚を誘えるだろう。そういうねらいもあったか?

 

 

欲を言えば、ボディにもっと浮力…要は、スカスカ感が欲しい。

 

 

コアな“昆虫”トンボ好き(兼バス釣り愛好家)の要求—ロッドアクション—にリニア的に応えるためには、極端な高浮力ボディが必須なのである。

 

 

落水トンボの発する力強くも繊細な水紋を、ついに、再現することが可能になるかもしれない。。

 

 


 

 

「リブンシケーダ」の系譜であり、

 

堂々たるアートベイト

 

 

跳ね上がる腹部など、ギミック的に見ても、これぞ古き良き(?)ダイワ。

 

 

中空ラバーで翅を表現していることもあり、

 

「見ためだけとは言わせないぞ」

 

という気概も感じられる。

 

ボディ長72mmと、なんとも中途半端なサイズ感。カラーラインアップと合致しない(大小サイズが欲しいところだ)。ゆえに、どうしてもファンシーな印象を受けてしまう。

 

 

いずれにせよ、

 

「最もリアルにトンボを再現しようとした」

 

という点では、疑いようのない Monumental Work である。

 

 

ただね、、単純に「バスを釣りたい!」って人は買わないほうがいいかな。

 

 

青とか赤じゃなくて普通に釣れそうなカラーをチョイスしたにもかかわらず、小バスを相手に厳しいバトルが続いている。

 

雨の管釣りで放っておいたらイトウが釣れた。フックはちゃんと交換しましたよ。

 

 

結局、これを投げるのが楽しいんです。

 

 

どうにかしてこれで釣ろうとするのが楽しいんです。

 

 

だから、釣れなくたって楽しいんです。

 

 

(たまに釣れちゃったときなんか、小躍りしちゃいます)

 

 

ぼくは『ドラウンドラゴンフライ』が好きなんです。

 

2024年5月発売

ウエイト/2.8g

ボディ長/72mm

価格/1,400円

 

 

ということで、結論。

 

 

トンボはルアーに向かない

 

 

 

釣れ釣れ度■■□□□

ロスト度■□□□□

レア度■■□□□

「水面はジワリともしない」度■■■□□

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