小学校5〜6年生のとき、
「登校中にヤギを見た」
「ヤギを飼っている人がいる」
などと、クラスで話題になった。
(都会の住宅街である)
結局、正体は犬—真っ白な「サルーキ」という大型犬—であったのだが…
このサルーキは、スリムなボディラインで首が長く、おまけに頭も小さい。
犬なのに気品ある優雅な歩き方をするので、遠目には、確かに“ヤギ”に見えなくもない。
一部の級友は、
「ヤギじゃないのか」
「偽物だ!」
などと一瞬ザワザワしていたが、、
ぼくは、
当時はかなりレアな犬種であったサルーキに出会えたこと、
そしてそのサルーキが近所にいること、
に歓喜した。
(我が家でも犬を飼っていたので、ぼくは以前からサルーキに興味があったのだ)
それから20年程が経過したある日、
再び、
「近所にヤギがいる」
「ヤギを飼っている人がいる」
との知らせが耳に入った。
ネタ元は母親である。
何でも、
「夕方になると出没する」
という。
早速ぼくは、散歩がてら、情報の真偽を確かめにいった。
(重ねて言うが、都会の住宅街である)
すると、、
いた。
ヤギが。
おじさんが連れている。
自宅近くの道がヤギの散歩コースのようであった。
念のため
「ヤギですか?」
と尋ねると、おじさんから
「ええ。ヤギです」
と答えが返ってきた。
それからは月に数回ヤギ(とヤギを連れたおじさん)とすれ違うようになり、自然と挨拶を交わす程度の間柄になった。
間もなくして分かったことなのだが、このヤギは、近所の子どもたちの間ではすでに有名な存在らしく、人気者であった。
ヤギ(とヤギを連れたおじさん)を、数名の子どもたちがいつも取り囲んでいた。
(少なくとも表面上は)穏やかで気さくな、おじさんの人柄もあってのことだろう。
長くなったが、これが今回のルアーの話につながる。
ラビット(日本アニメーション)『あらいぐまラスカル(シャローラスカル)』
そう、、一般的な評価は、ズイール『アライくん』のパクリルアーなのだが…
たまたま後発なだけであって…
否、確かに手法・やり口はパクったと思う。
「アライグマをうまくルアーに落とし込むことができるぞ!」(ラビット開発陣)と。
しかし、、だからと言って一括りで「パクリ」と評するには、あまりに次元が違う。
片や“釣り”の、それも釣りの中の一ジャンルでブレイクしたにすぎず、
片や、原作をもち、「世界名作劇場」で放送された日本アニメーション制作のテレビアニメ。
「ラスカル」の知名度や根強い人気については言うまでもない。
ぼくはこの『アライくん』と『あらいぐまラスカル』の関係性が、
身近に現れた「ヤギ」と「サルーキ」の関係性に似ている
と、ずっと思っているのだ。
天才柏木重孝氏が生み出した『アライくん』は、ヤギ。
大人たちからはやや奇異の目で見られながらも、地元の子どもたちに囲まれてウハウハなヤギ。
そして『あらいぐまラスカル』は、サルーキ。
「ヤギじゃない」「ヤギの偽物だ」などと言われながらも、実は本物中の本物。
知的で優美。
古代エジプトでファラオも飼っていたという最古の犬種サルーキ。
(ヤギはヤギでかわいいんだけど…家畜化されたのだって犬のほうが先でしょ)
パクリであるか否か以前に、
そもそも『アライくん』と『あらいぐまラスカル』は、
存在しているステージが異なるのだ。
ということで、以上、キャラクターについての所感でした。。
(効果には個人差があります)
ちなみに、この手のルアーで“実際に魚を釣る”となると、ぼくが信頼しているのは『アライくん』だけです…はい。
さて、、
その後、ぼくも忙しくなり、ヤギとおじさんに会えない日々が続いたのだが、
数年前、ヤギを連れていないおじさんとばったり出くわした。
互いに気づいて挨拶を交わしたのだが、やはりヤギがいないのが気になる。
そこでぼくは、
「ヤギは元気ですか?」
と尋ねてみた。
今ブログ読者のみなさんは、
“「ヤギは死んだ」とおじさんが答えた”
と予想していることでしょう?
当然、ぼくも、そういう答えが返ってくると思っていた。
ところが、おじさんから返ってきた答えは、
まさかの、
「食った」。
にこやかな笑顔で。
やっぱりあぶない人 変わり者だった…。
釣れ釣れ度 ラビット/あらいぐまラスカル■□□□□・ZEAL/アライくん■■■□□
ロスト度■□□□□
レア度 ラビット/あらいぐまラスカル■■■■□・ZEAL/アライくん■■■□□
「ヤギが『アライくん』なら、ヤギを連れたおじさんのアクの強さは、まさに、柏木重孝氏」度■■■■■