アメリカに、
“バスの気もちになるため”
一年中、
“上半身裸で釣りをしている”バスプロがいるという…
その名は、リック・クラン。
20数年前、
この話を聞いたときの“ぼくの気もち”は、
「バカじゃねーの」が1割、
「なんて素晴らしいんだ」が9割、
という感じだった。
その頃、身近にも、上半身裸で釣りをしている友人がいた…
(素肌にライフジャケットは着用しているものの)
その名は、イチロック。
しかし、イチロックは、別に、バスの気もちになりたかったわけではない。
「ベトナム戦争時の米兵」を意識していたのである。
ぼくも負けてはいられない。
早速、極寒の2月、
某湖での陸っぱりにおいて、
“上半身裸”を導入した。。
とりあえず、、寒い。
というか、、痛い。
気合いで耐えるのみ。
しかし、痛いのは、寒さのせいだけではなかった。
明るくなって気づいた。
田舎だと思ってなめていたのだが、
すぐ上の道が、地元の高校の「通学路」だったのだ。
男子高校生の「バカじゃねーの」的な罵声が聞こえてくる…
女子高校生の「きもっ!」に心が折れそうになる…
もう、釣りどころではない。
通学路の方が気になってしかたない。
そのうち、“見て見ぬ振りをされる”のが最もツライことに気づく。
“汚いものを見るような目”を
一瞬こちらに向け、
猛ダッシュで走り去っていく。
ぼくを「関わってはいけない人」だと認識していることは、明らかだった。
(逆の立場だったら、確かに、ぼくも、関わりたくない…笑)
このままでは警察に通報されそうだ。。
しかし、ぼくの気合いが、バカな高校生どもに勝った。
どうやら登校時間は過ぎたようだ。
今頃、教室では、ぼくのことが些か話題になっているだろう。
どうせ笑いものだ。
でも、全然気にしない。
何しろ、ぼくは、リック・クランなのだから。
そう思うと釣りにも集中できるようになってきた。。
…のも束の間、
寒さのあまり意識が朦朧としてくる。
手の感覚なんて、とうの昔に麻痺した。
キャストもままならない。
そのうち、なんだか、眠くて、気もちがよくなってきた。
「あー、こうやって、人って凍死するんだなぁ」
なんてことが頭をよぎる。
そのうち、日が高くなり、付近には、頓に人が増えてきた。
さすがに、恥ずかしい…というか、ぼくも多少の一般常識はもち合わせている。
ここで「納竿」という決断を下し、無事に生き存えることができたのだった。
帰りの車中、
自身を登山家になぞらえ、
撤退した勇気と決断力に一人酔いしれる変態がいた。
そして、何より、“バスの気もち”が痛いほどよく分かった。
冬は釣れないわけである…。
さて、粗雑な作りで定評のある「ポー」。
別にバカにしていない。
魚を釣るという本質においては、ルアーが精巧であろうが、粗雑であろうが、、どうでもいい。
しかし、「ポー」は、品質だけにとどまらず、釣れ方も粗雑なのだ。
その中にあって、唯一、投げた途端に釣れたのがこのルアー。
ポー『RC-1』
“RC”…そう、、上半身裸の「Rick Clunn」である。
ぎりぎり目視できる深度で、ひったくるようなバイトを期待したい。
「RC」シリーズも、ご多分にもれず、新旧によるアクションの違いがあるという。
旧がタイト、新がワイド、、らしい。
この個体は、
「パタパタ」と「グワングワン」の中間
といった印象なのだが…
何しろ比べようがないので、よく分からない。
それに、元来、「ポー」は個体差が激しい。
いずれにせよ、釣れるので、どうでもいい。
釣れ釣れ度■■■□□
ロスト度■■□□□
レア度■■□□□
「冬季禁漁」度■■■■■