《前回の続き》
鋭い牙を誇示するように大きく開けたピラニアの口の奥から、
「パラパラパラパラ…」と、
茶色い粉末に混じって、
“めちゃくちゃ小さいカブトムシのメス”みたいなやつが
何百匹と出て(落ちて)きたのだ。
振れば振るほど、無限に、出てくる。。
おもしろくて仕方がない。
昔からその手の虫を“気もち悪い”と思うことがなかったぼくは、
虫のみを取り出し、
小さな容器にぎっしりと詰めた。
そして、その容器を、嬉々として母親に見せにいったのだ。
数分後、
(母親も虫は好きな方だったが)
「ピラニアの剥製」と
「“めちゃくちゃ小さいカブトムシのメス”みたいなやつが詰まった容器」は、
ごみ袋で何重にも包まれ、
家の外に出されていた。
剥製作りの技法を用いた、
剥製風ルアー(ちゃんと普通のミノーだから、あくまでも“風”なのだ)。
今でこそ、「剥製ルアー」をうたうブランドはいくつか存在しているが、
魚皮だけではなく、ヒレもそのまま活かしているあたり、
「フィッシュワールド」物が、最も剥製の雰囲気を醸している。
実は、ここのルアー、匂いが…
そう、、
あの時の「ピラニアの剥製」と同じなのだ。
甘いような、香ばしいような…。
ルアー作りの工程で、同じ薬品を使用しているのでは?
(魚の剥製作りの世界では、オーソドックスな薬品なのかも知れない。)
ところで、こちらのモデル、ちゃんと魚皮は張られているようなのだが…
本当に「ヤマメの皮」なのだろうか?
いずれにせよ、アルミ箔が貼られているということは、グアニンは残っていなかったのだろう。
—匂いの記憶—
釣れ釣れ度■■□□□
ロスト度■■□□□
レア度■■■■□
「ブラジル産『ピラニアの剥製』は、未処理の内臓に、“アマゾンの新種の甲虫”付き」度■■■■□